2015年7月9日木曜日

かの山を思ふ

御嶽山(おんたけさん)一般的には木曽御岳(きそおんたけ)として名が通っているか。日本百名山の深田久弥の言葉にあるように日本の名だたるアルプスには属さない孤高の独立峰(※諸説あるがここでは議論しない)は南北に約4kmという広大な山頂領域を持ち、遠く濃尾平野からも望むことが出来る大きな山体です。その絶頂にあたる剣ヶ峰は南御嶽に位置し標高は3067m、日本で14番目に高いピークとなる。富士山、白山と並び日本三霊山(※立山も三霊山とされる)にも数えられる霊験あらたかなお山である。あと一点、忘れられはいけない歴史の1ページにも刻まれた戦後最大の火山災害の起きた悲劇の舞台であることはもはや言うまでもない。

7月1日に登山道の規制緩和をうけ、自身約1年ぶりに御嶽山山頂(飛騨頂上)へ登った。
幼いころから思い入れも、なじみも深い場所。初めて来てから約20年、何度登ったか数えてもいない。初めて登った3000m峰、はじめてのヘッデン山行、はじめての沢登、はじめて冬山・・。などなど。とにかく僕の山行経験のスタートは全てここから始まっている。そもそも御嶽山があるからこそ僕のライフワークである小坂の滝が存在しているのであって、その火山活動があってこそ溶岩流の渓谷が存在しているのであって、全ては御嶽山の成り立ちの一部にすぎないのでしょう。
ただその過去の火山活動を知りながらも心のどこかで「噴火はしない」と思っていただけに今回の事件の衝撃は堪えた。かつ、これだけの大参事が起きるとなおさら傷は深い。

そして今、剣ヶ峰とは正反対の北端に位置する継子岳のピークに立ち南を見通せる場所に出て遠方を見やると「やはり御嶽は火山だ。」とまざまざと思い知らされる。今なお立ち上る噴煙と灰色のストライプにつつまれた剣ヶ峰を遠望し腑に落ちる。この麓に生き、懐深く抱かれながら生き続ける覚悟がいる。背筋がゾクッとするのを感じる。活火山御嶽山との共生はたやすくはない。けどあきらめたくはない。だって好きだから。
生活の糧であること、そして活火山であることも、消えない傷も全て含めて御嶽山麓のその恩恵を授かり生かされるものの一人としてこれからも覚悟を持って生き抜きたい。合掌。

2015.7.4継子岳より剣ヶ峰を望む

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